12月4日・5日 北ア:笠ヶ岳 高本、他1名
★2,500m付近で敗退した。今の体力と技量では精一杯でした。天候に恵まれ、景色は今までで一番でした。
12月5日 竜爪山 苫米地、他1名
★7月の白根三山縦走以来、サブ行動の山行が続いているので、来週に迫った冬山月例山行に備えて歩荷訓練を行った。冬用シュラフと石井の6人幕一式、30mロープなどで100リットルのザックを満たす。重量は20kgで縦走登山としては普通の重量である。これにピッケル、アイゼン、食糧などを加えると30kg近くになりそうだ。旧道入口の駐車場はすでに下山した早朝登山者がいるようで空きがあった。富士東高校の山岳部員が新道から登っていった。歩荷訓練自体が約20年ぶりで新鮮な感じもする。久しぶりに背負う20kgは予想より重く感じた。膝や腰を痛めては本末転倒なので、つとめてゆっくりと登る。それでも大きな段差や階段が続くと息が切れる。普段は通り過ぎる穂積神社で一休み。この先の急な階段は避けて横のつづら折れを登る。薬師岳への最後の登りで早くも下山してくる高校生とすれ違う。薬師岳からは北側の段差が少ないルートを下る。文珠岳の山頂は15人ほど。空いているテーブルでおにぎり、カップラーメン、コーヒー、デザートのフルコースをいただく。天気は曇り基調で風はないが日差しもないので冷たく感じる。荷物が重いと汗も大量にかくので背中が冷えてくる。見晴らしは、清水港側は伐採してあって良いが、旧静岡市内側は立木が伸びて悪い。富士山も雲に閉ざされ、県外からと思しき登山者たちを残念がらせていた。さて下り。ひときわ膝と腰に注意して安全確実に一歩一歩くだる。長い下りは事故の原因になる。この毛無山の教訓を生かし、下りでも穂積神社で一休み。トイレは、本日は使用可だった。下りも旧道をとりゆっくりと歩く。おかげで翌日の筋肉痛や膝・腰の痛みは出なかった。久しぶりの歩荷訓練で少し不安は解消された。同行してくれたパートナーに感謝。
12月11日・12日 八ヶ岳:西岳・権現岳・編笠山 苫米地、赤石、小野田、鈴木、堀部
■第1日:静岡5:15=車=6:00南部道の駅=7:30富士見高原スキー場8:00…8:45不動清水…12:50西岳13:10…14:45青年小屋(幕営)
第2日:青年小屋6:15…8:00東ギボシ…10:00青年小屋11:00…12:15編笠山…16:00富士見高原スキー場=八峯苑鹿の湯17:00=南部道の駅=19:00静岡
★11日 会の月例冬山訓練。今シーズンの雪山への第一歩になる山行だ。静岡を5時に出発し中部横断道から中央道、小淵沢インターで降りて登山口の富士見まで2時間半ほどしかかからなかった。今回は西岳に登り青年小屋でテント泊、権現岳に登り編笠山を経て下山するルートだった。私は権現岳に登ろうかどうかまよったが、登れる支度をして出かけた。登山口に着いて山を見上げると権現岳の岩稜が青い空に黒々とそびえていて薄く雪が覆っている。登るのを諦めた。持ってきたピッケル、アイゼン、ハーネス、ヘルメットを車に置いていくことにした。西岳への登りは重荷だったが順調だった。途中から雪が出てきたがチェーンスパイクで歩いた。気温が少し高かったのでスパイクに雪が団子状に着いた。天気はよく風もなかった。西岳から青年小屋までの歩きは樹林帯の中、荷物が重く感じてなかなか着かなかった。小屋の前の広いテント場には二張りがあった。積雪は20センチくらい。雪が少なくて水が作れないこと心配して2リットルずつを背負って登ったが、雪の心配はなかった。しかし背負いあげた水でまかなうことができた。夕食は鍋を囲んだ。夜も静かで寒くなく星空だった。
12日 4時に起きて食事、支度の後、6時過ぎに皆は権現岳に登りに出かけた。僕はテントキーパー。キーパーは初めての経験だった。コンロの火を小さくして、スマホやGPSを見たりしていた。時々外に出て山を見るが、静かで山が黒々と青空に浮かんでいた。テントの中は退屈かと思っていたがゆっくりと時間を楽しめた。10時半過ぎに皆が帰ってきた。テントをたたんで下山。簡単に思っていた編笠山の上り下りが思いがけず大変だった。大きな火山弾が堆積したような山で、岩に薄い新雪がかぶっている。どこに足を置いて良いのかわからない。岩の間に足を置くと踏み抜きそうだし岩から岩に飛ぶような姿勢になると滑りそうで慎重になる。バランスをとりながら重い荷物に振られないように登った。山頂では風が強くなり写真を撮っただけで下った。下りも同じような火山弾の堆積した岩の上を慎重に下った。僕は過去に2回この山に登ったことがあるが雪のない時期だったので全く覚えていなかった。下るにつれて林の中の土の道になりになり雪が消えてハイキングコースになった。駐車場に戻ったのは4時前だった。久しぶりの重荷で歩いたが良い仲間と歩いて満足した山行だった。(赤石記)
★11日:久しぶりの冬山一泊登山は予想以上にきつかった。ほぼ30分毎の休憩は有難かった。西岳頂上は2月同様青空の下素晴らしい展望だった。微風で暖かかった。2月より雪が少なくアイゼン無しで西岳まで登れたが、下りに入るとすぐ大きな段差と急斜面が滑りそうで怖くて12本歯アイゼンを着けた。林の中の広い平地に青年小屋があった。権現、編笠が見える。兎の足跡があった。水作りにも十分な積雪。風を避け樹林近くに6人テントを張った。中は広くてゆったり過ごせた。夕食は一人一品ずつ持ち寄ったがあとは全部苫米地さんが用意。お手製の松前漬けも。美味しい闇鍋をたっぷり頂いた。残りは朝食の雑炊に。
12日:昨夜は暖かく眠れた。夜は満天の星。朝5度。無風。手袋なしでも作業ができた。アイゼン、ハーネス、ヘルメットを装着。次の機会は無いかもしれないので権現にも参加する事にした。だが樹林の中の細い道は初めから急登で、昨日より荷物は軽いのに自分でも驚く程歩みが遅い。樹林を抜け展望の良い‘のろし場‘に出た時既に7時。私抜きなら頂上に行けるはずだ。だが行ける所まで一緒にとリーダーが言って下さったのでそのまま同行させて貰った。ギボシは下部の広い急斜面全体に積雪していたが上のトラバースの鎖場は鎖が雪に埋まっていたのはほんの一部だった。足場もしっかりしていたので怖さはなかった。東ギボシ下で8時になり時間切れ。一時曇っていたがその時には晴れて権現岳が良く見えた。数十年前の春このルートを歩いた時、権現小屋に向かう痩せ尾根が雪で覆われ誰にも踏まれてない雪は両側が切れ落ち、まさにナイフの刃のように尖っていて足を踏み出すのが本当に怖かった。だが今は雪が少なく普通に歩けそうな道が見えた。そこを再び見て確認したかったのでここまで来られて良かった。そこから1回懸垂下降をして、その先のトラバースでは鎖にカラビナを通して下った。
編笠山は易しかったという記憶だったが、今回私には一番の核心部だった。大岩が隙間を空け、山の中腹まで斜面全体を埋め尽くしているガレ場だった。少しだけ雪が付いた岩にはアイゼンで立つのも不安定だがアイゼン無しでも滑りそうで外せなかった。隙間の雪上も踏み抜きそうで怖くて遅々として進まなかった。前に登った時はきっと雪で覆われ歩き易かったのだろう。このガレの記憶が全くない。ガレを抜けるだけで50分もかかってしまった。頂上までコースタイム30分の所を75分もかかった‼ 頂上は強風だったので写真を撮ってすぐ下山。こちら側は頂上からガレ場で40分位掛けて抜け、樹林帯の道に入った。
同行の皆さまには大変迷惑をかけすみませんでした。重い荷物を持って頂き、眠くなる程遅い私の歩みにお付き合い下さり優しいお心遣いをして頂き本当に有難うございました。(小野田記)
★12月恒例の雪山訓練合宿を八ヶ岳南部で実施した。この山域は積雪量が少なくラッセル訓練には向かないが、比較的余裕をもって歩け、展望も良く、権現岳ピストンではちょっとした雪稜歩きも楽しめる。冬山装備一式に登攀具も加えると歩荷訓練にもなりそうだ。なにより交通アクセスがとても便利な山域だ。晴天だが寒気が入ってこない恵まれた気象条件で実施することができた。みなさん久しぶりの重量を背負っての山行になるので、30分歩いて5分休憩というペースで西岳へ向かう。途中雪が出てきたところで3名がチェーンスパイクを装着。2名はつぼ足で西岳山頂まで登る。快晴無風の素晴らしい天気で富士山、南アルプスの展望が素晴らしい。山頂で話をした方は松本から日帰りで編笠・権現・西岳と周回してこれから下山、朝3時に登り始めたそうだ。ギボシの鎖場は半分ほど雪で埋もれているが、夏道がほとんど出ていて問題ないとのこと。西岳の下りでつぼ足の2人はアイゼンを装着した。青年小屋への道は思ったより登りがあり予定より2時間近く遅れてテンバの青年小屋に到着する。小屋の前の幕場は広い雪原で素晴らしい景色だ。無人小屋は窓がなく真っ暗けだった。テントは他にソロらしいのが2張りだった。夜は闇鍋でみなさん持ち寄りの具をさかなに楽しく宴会。石井の6人幕に5人なのでかなり居住性が良好だった。
二日目は赤石さんをテントキーパーに4人で権現岳ピストンに向かう。ピークまで到達できなくても8時に下山開始、10時にはテンバに戻ることを申し合わせる。アイゼンとハーネスを装着し、ヘッドランプを点けての出発だったが間もなく陽が昇る。東雲の空に富士山というまことに年賀状向けの撮影ポイントだった。のろし場からは岩稜の登高になる。ガスが掛かって展望が悪かったがギボシに掛かる頃には晴れた。西ギボシの登りは雪の急斜面だが前日のトレースがバッチリ残っていて問題なし。東ギボシのトラバースは雪に埋もれかけた鎖を頼りに慎重に通過する。10mほどの鎖場を直登して東ギボシを巻き終わると権現岳は指呼の間だがここで時間切れとなる。写真をとって下山開始。10mほどの岩場は念のためザイルを出して1人ずつ懸垂下降した。9月に何でもない山道で転倒して大けがをしたので安全第一を心掛ける。鎖場のトラバースもセルフビレーを取りながら慎重に通過する。のろし場まで下るとガスも晴れて赤岳、阿弥陀岳の展望が素晴らしい。テンバの青年小屋も良く見える。なんとか10時までにテントに戻ると赤石さんが熱い紅茶を入れてお出迎え。出発してからほとんど何も口にしていなかったのでありがたかった。山を眺めながら何杯もいただく。テント撤収後、編笠山の登りで真っ青。うっすら雪が積もったさしわたし2mほどの岩が累々として歩きにくいといったらない。極端に登高スピードがダウンしてしまう。まさかの核心部となった。夏のコースタイムの倍以上かけてようやく編笠山を越える。山頂には何も遮るものがない南アルプスの大展望が待っていたが、時間が気になるので写真だけ撮ってそそくさと下山にかかる。冷たい風も吹き始めていた。しばらくは岩地獄が続いてヒーヒーさせられる。各自が犬を連れたグループが登ってきた。ブームなのか最近良く見かけるが、犬もとても歩きにくそうだ。途中からはとても歩き良い道になりホッとする。雪が消えるとフカフカの落ち葉の道を気分よく歩き、なんとか明るいうちに下山することができた。
積雪量が少ないので夏山のコースタイムとあまり変わらないだろうという計画は甘かった。しかし、ゆっくり歩くと汗もかかないし、膝や腰の負担軽減になることを学ぶことができた。普段よりかなり重い荷物を背負って歩いたのだが、翌日以降まったく筋肉痛がなかったのだ。久しぶりに冬山で仲間と共に幕営山行ができて楽しかった。権現岳は山頂を踏めなかったが手抜きせずに安全登山ができて満足だった。皆さんに感謝です。(苫米地記)
左から阿弥陀岳、ギボシ、権現岳